日本でUGC・インフルエンサーを
広告に起用する実務ガイド|
ステマ規制・炎上リスクと「UGCで当たり型→インフルエンサー」の進め方
日本で縦型動画広告を配信するとき、「日本のインフルエンサーを起用すれば早く売れるのでは」と考える海外企業は少なくありません。しかし日本では、2023年10月からステルスマーケティングが法律で規制され、炎上など個人に起因するリスクもあります。本記事では、日本と海外で縦型動画の制作と広告運用を担当してきたZVAが、日本でUGC(一般ユーザー風の動画)やインフルエンサーを広告に起用するときの実務を、市場データ、ステマ規制の要点、媒体ごとの表示ルール、そしてZVAが推奨する「UGCで当たり型を見つけてからインフルエンサーへ」という進め方とあわせて解説します。
この記事のポイント
- 日本のインフルエンサーマーケティング市場は860億円(2024年)で、2029年には1,645億円に拡大する見通し
- 一方で、起用には管理の手間、ステマ規制(責任は広告主)、炎上など個人に起因するリスクが伴う。インフルエンサーの投稿を信頼する消費者は20.3%
- 「#PR」を大量のハッシュタグに紛れさせる、動画の途中や最後にだけ表示する、といった方法はステマ規制の運用基準で不十分とされている
- ZVAの推奨は、まずUGC風の縦型動画で30本以上のパターンを試して当たり型を見つけ、必要な場合に当たった台本でインフルエンサーを起用する進め方
インフルエンサーマーケティングは拡大中、縦型動画広告はさらに急拡大
出典:サイバー・バズ/デジタルインファクト(2024年11月)
出典:サイバーエージェント/デジタルインファクト(2026年3月)
2つのグラフは同じ目盛り(最大5,648億円)で描いています。調査元と基準年が異なるため、伸び率は参考比較です。斜線は予測値。
サイバー・バズとデジタルインファクトの調査によると、日本のインフルエンサーマーケティング市場は2024年に860億円(前年比116%)で、2029年には1,645億円(2024年の約1.9倍)に拡大すると予測されています。SNSマーケティング市場全体も、2024年の1兆2,038億円から2029年には2兆1,313億円になる見通しです。
ただし、それ以上の勢いで伸びているのが縦型動画広告です。サイバーエージェントとデジタルインファクトの調査では、縦型動画広告市場は2025年に2,049億円(前年比155.9%)で、2029年には5,648億円(2025年の約2.8倍)に拡大する見通しです。市場の規模でも伸び方でも、インフルエンサーマーケティングを上回っています。
インフルエンサー施策も伸びていますが、日本の広告の主戦場はそれを上回る勢いで広がる縦型動画広告です。インフルエンサーは、縦型動画広告の中でどう活かすかという視点で考えるのが現実的です。
一方で、インフルエンサーを広告に起用するには、日本ならではの難しさがあります。
インフルエンサー起用が難しい3つの理由
1. 管理の手間が大きい
候補探し、条件交渉、台本や撮影内容の確認、投稿内容の事前チェック、表示ルールの徹底まで、1人ごとに調整が必要です。人数が増えるほど、管理の負担は大きくなります。
2. ステマ規制に触れるリスク
2023年10月1日から、広告であることを隠した表示(ステルスマーケティング)は景品表示法で規制されています。責任を負うのは広告主で、投稿したインフルエンサーではありません。詳しくは次の章で説明します。
3. 炎上など、個人に起因するリスク
インフルエンサー本人の過去の発言や私生活での出来事が原因で、起用した商品やブランドまで批判を受けることがあります。デジタル・クライシス総合研究所の集計では、2026年1月の炎上178件のうち38.2%が有名人に関するものでした。同研究所は、起用前に過去の投稿を確認し、投稿内容や問題が起きたときの対応方針を決めておくよう呼びかけています。
出典:消費者庁「令和8年版 消費者白書」(消費者意識基本調査、N=5,473)。「とても信頼できる」「ある程度信頼できる」の合計。
さらに、日本の消費者のうち有名人やインフルエンサーの投稿を信頼する人は20.3%にとどまり、一般の消費者のレビュー(40.9%)の半分です。ただし10代後半では44.7%、20代では38.8%と、若い世代ほど信頼する傾向があります(消費者白書)。
インフルエンサーは「起用すれば売れる」わけではありません。手間・規制・炎上のリスクを負う分、どの台本で何を語ってもらうかの精度が問われます。
ステマ規制で押さえるべきポイント
消費者庁の「運用基準」から、広告主が押さえるべき点をまとめます。
- 「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」と明示する
- 「A社から商品の提供を受けて投稿している」と文章で示す
- 動画では、冒頭など視聴者が気づける位置とタイミングで示す
- 大量のハッシュタグの中に「#PR」を紛れ込ませる
- 動画で一瞬しか表示しない、長い動画で途中や最後にだけ表示する
- 文字が小さい・色が薄い・投稿の末尾など見づらい位置に置く
- 「広告」と書きつつ「これは第三者としての感想です」と打ち消す
- 明確な指示がなくても対象になる:広告主が投稿内容を決められる関係にあり、客観的に見て投稿者の自由な意思といえない場合は、広告主の表示とみなされる。やり取りの内容、対価、過去・将来の関係などから判断される
- 社員の投稿も対象になりうる:販売促進に関わる役員・管理職・担当者の投稿
- 自社サイトの「お客様の声」も注意:第三者の感想のように見せる場合は、依頼して書いてもらったことを示す必要がある
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の表示の可否は、専門家または消費者庁の運用基準・Q&Aでご確認ください。
媒体ごとの表示の仕組み
| 媒体 | 表示の仕組み | 押さえる点 |
|---|---|---|
| TikTok | コマーシャルコンテンツの開示設定をオンにすると、ブランドコンテンツとして自動でラベルが付く | 紹介する商品が動画内で分かること。減量・医薬品・美容整形・一部の金融商品などは禁止カテゴリ(ブランドコンテンツポリシー、2026年8月31日施行) |
| YouTube | 有料プロモーションの設定を選ぶと、動画の冒頭に開示ラベルが表示される | 法令の順守はクリエイターと提携先の責任 |
| ブランドとの提携関係を示すラベル(Paid partnership)を付ける仕組みがある | ビジネスアカウントまたはクリエイターアカウントで利用する |
なお、広告主が広告として配信し、媒体側で「広告」「スポンサー」と表示される動画は、広告主の表示であることが明らかです。一方、インフルエンサー本人のアカウントから通常の投稿のように出す場合は、上記の表示が欠かせません。
ZVA の制作・運用サービス
UGC風の縦型動画で、まず当たる型を見つける
ZVAは日本人演者によるUGC風の縦型動画を社内で量産し、配信データで当たる台本パターンを見つけます。1本50,000円〜(海外案件は個別見積)。
料金と進め方を見る →ZVAの推奨:UGCで当たり型を見つけてから、インフルエンサーへ
成果を出すうえで最も大切なのは、「当たる台本」と「当たる動画のパターン」です。そこでZVAは、いきなりインフルエンサーを起用するのではなく、次の順番で進めることをおすすめしています。
この順番が良い理由
- リスクを抑えられる:検証の段階では、炎上やステマ規制のリスクを個人に依存しない
- 費用対効果が高い:起用費の高いインフルエンサーで「当たるかどうか」を試す必要がない
- インフルエンサーへの依頼が具体的になる:データで実証された台本パターンを渡せるため、本人の個性を活かしながらも成果につながる内容にできる
TikTokの社内分析でも、クリエイターが登場する広告は、そうでない広告と比べてクリック率が70%、エンゲージメントが159%高いという結果が出ています(同じ1,000回表示あたりの費用で比較。2024年2月〜2025年1月、TikTok調べ)。人が語る縦型動画の強さは、UGC風の動画でも引き出せます。日本向けの台本の作り方は日本向け縦型動画広告のローカライズ実務ガイドで解説しています。
まずUGC風の動画で「何を、どう語れば当たるか」をデータで掴む。インフルエンサーは、その勝ち型をさらに伸ばすための選択肢です。
起用前のチェックリスト
| 確認項目 | 理由 |
|---|---|
| 当たる台本パターンが分かっているか | 分からないまま起用すると、費用をかけて検証することになる |
| 広告であることの表示方法を決めたか | 表示の位置・タイミング・文言は広告主の責任で決める必要がある |
| 媒体の開示設定を使うか | TikTokの開示設定やYouTubeの有料プロモーション設定など、媒体ごとの仕組みがある |
| 過去の投稿や発言を確認したか | 本人に起因する炎上がブランドに波及するのを防ぐ |
| 問題が起きたときの対応を決めたか | 投稿の取り下げ・連絡体制・公表の方針を事前に合意しておく |
| 商材が媒体の禁止・制限カテゴリに当たらないか | 医薬品・美容整形・一部の金融商品などは、そもそもブランドコンテンツにできない |
まとめ
日本のインフルエンサーマーケティング市場は拡大を続けていますが、起用には管理の手間、ステマ規制、炎上といった日本ならではのリスクが伴います。日本の消費者がインフルエンサーの投稿を信頼する割合も20.3%と高くありません。
だからこそ、まずはUGC風の縦型動画で30本以上のパターンを試し、当たる台本を見つけることが近道です。その動画だけでも十分な成果を出せますし、影響力を借りたい場合は、当たった台本をもとにインフルエンサーを起用すればリスクを抑えて成果につなげられます。ZVAは、日本人演者によるUGC風の縦型動画の量産から、インフルエンサー起用を見据えた台本設計、広告運用まで、日本語・英語・韓国語・中国語で一貫して担当します。
参考資料・出典
- サイバー・バズ/デジタルインファクト:インフルエンサーマーケティング市場調査(2024年11月7日)
- サイバーエージェント「2025年国内動画広告の市場調査」(2026年3月9日)
- 消費者庁 ステルスマーケティング規制のページ
- 消費者庁 ステルスマーケティングの告示の運用基準(2023年3月28日)
- 消費者庁 ステルスマーケティングに関するQ&A
- 消費者庁 令和7年度の景品表示法の運用状況(2026年5月28日公表)
- 消費者庁 医療機関に対する措置命令(2024年6月7日公表)
- Web担当者Forum(2024年6月11日)ステマ規制初の措置命令に関する記事
- 消費者庁「令和8年版 消費者白書」第1部第2章
- シエンプレ(デジタル・クライシス総合研究所)2026年1月の炎上レポート
- TikTok ブランドコンテンツポリシー
- YouTube ヘルプ:有料プロモーションの開示
- Instagram ヘルプ:ブランドコンテンツ
- TikTok for Business ブログ「The Creator Advantage」(2025年11月24日)
数値は各出典の公表時点のものです(2026年10月確認)。TikTokのクリエイター広告のデータはTikTok社による社内分析です。炎上件数は集計方法が年によって異なる可能性があるため、年をまたいだ比較はしていません。法令に関する記述は法的助言ではありません。