日本向け縦型動画広告(TikTok/YouTube/Instagram)のローカライズ実務ガイド|
翻訳した広告が当たらない理由と、日本の制作チームへの依頼方法
日本の広告費はインターネットが半分を超え、その伸びの中心はSNS上の縦型動画です。一方で、海外で成果が出た広告を日本語に翻訳して配信しても、CPI(インストール単価)が本国の数倍に悪化して止まってしまうケースが後を絶ちません。本記事では、日本と海外(米国・中国・韓国・トルコ)で縦型動画を制作・配信してきたZVAのグローバルチームが、日本の縦型動画広告をめぐるデータ、翻訳した広告が当たらない理由、海外モバイルゲーム会社の事例、ローカライズの4段階、日本の制作チームへの依頼方法と費用をまとめます。
この記事のポイント
- 日本の広告費はインターネットが50.2%を占め、マスコミ四媒体の1.8倍に。縦型動画広告は前年比155.9%で、動画広告の中で最も伸びている
- 翻訳しただけの広告は「冒頭2秒」「テロップ」「話し言葉」で日本の視聴者に届きにくい。日本向けに作り直した海外モバイルゲーム会社の事例では、CPIが12ドルから3.8ドルに、課金ROASは12倍になった
- ローカライズは「翻訳 → 現地化 → 日本向けの新規制作 → 当たりパターンの拡張・量産」の4段階。日本で事業を伸ばし利益を安定させるには、③④まで進める必要がある
日本の「マス」はいま、ネットの縦型動画で動いている
日本で多くの人に届けるための主戦場は、もうテレビではありません。広告費・視聴時間・利用者数のどれを見ても、中心はインターネット、とくにSNS上の縦型動画に移っています。
広告費:インターネットがマスコミ四媒体の1.8倍に
出典:電通「2025年 日本の広告費」、CARTA HOLDINGSほか「インターネット広告媒体費 詳細分析」(2026年3月5日)。マスコミ四媒体はテレビ・新聞・雑誌・ラジオ。動画広告はインターネット広告媒体費の内数。
2025年の総広告費8兆623億円のうち、インターネット広告費は4兆459億円(前年比110.8%)で、初めて全体の半分を超えました(50.2%)。マスコミ四媒体は2兆2,980億円(同98.4%)で前年を下回っています。インターネットの中では動画広告が初めて1兆円を超え(前年比121.8%)、電通はその要因にSNS上の縦型動画広告を挙げています。
縦型動画広告:動画広告の中で最も速く伸びている
出典:サイバーエージェント/デジタルインファクト「2025年国内動画広告の市場調査」(2026年3月)。斜線は予測値。
- 2025年の国内動画広告市場は8,855億円(前年比122.2%)。2026年に1兆437億円と初めて1兆円を超え、2029年には1兆6,336億円になる見通し
- そのうち約8割(7,053億円)がスマートフォン向け
- 縦型動画広告は2,049億円(前年比155.9%)で、スマートフォン向け動画広告の29.1%。2029年には42.5%まで高まる予測
※ 電通とサイバーエージェントの動画広告の数値は集計範囲が異なるため、直接は比較できません。
視聴者:TikTokは約4,950万人、ネットの利用時間は50代までテレビ超え
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| TikTokの国内月間利用者 | 約4,950万人 | 2026年5月末、TikTokとTikTok Liteの重複除く。TikTok発表 |
| YouTubeの利用率(13〜79歳) | 81.5% | 2025年12月調査。総務省 |
| Instagramの利用率(同) | 54.8% | 同上 |
| TikTokの利用率(同) | 36.7%(10代は67.9%) | 同上。2020年の14.9%から5年で2.5倍 |
| 平日のネット利用時間 | 183.9分(テレビ156.1分) | 10代〜50代の各年代でネットがテレビを上回る。総務省 |
海外マーケターへの示唆:日本で多くの人に届けたいなら、テレビCMを翻訳して流すより、SNS上の縦型動画を日本向けに作り込むほうが、いまの日本の視聴行動に合っています。ここが、これからの日本の主戦場です。日本市場と縦型動画広告のデータはデータで見る2026年の日本市場で詳しくまとめています。
なぜ翻訳した広告は日本で伸びにくいのか
1. 視聴者は「日本の広告」かどうかを一瞬で見分ける
縦型動画広告は、視聴者が指1本でスワイプして飛ばせる環境で流れます。最初の1〜2秒で「自分に関係がある」と思われなければ、その先は見られません。翻訳した広告は、演者・背景・言い回しのどこかに「海外の広告」らしさが残り、自分ごととして受け取られる前に離脱されます。
2. 日本の縦型動画はテロップ(画面上の文字)が前提
日本のショート動画は、話している内容を大きめの文字で画面に重ねる「テロップ」を入れるのが一般的です。音を出さずに見る人も多く、テロップの読みやすさとテンポがそのまま視聴維持率に響きます。翻訳字幕は「台詞を画面下に表示する」作りになりがちで、日本で見慣れた見せ方とは違います。
3. 直訳・AI翻訳の言い回しは「広告っぽさ」を強める
英語や中国語の広告コピーを直訳すると、日本語としては硬い、または不自然な表現になりやすくなります。日本で反応が取れるのは、友人に話すような口語や、実際の利用者が言いそうな一言です。台本は翻訳するのではなく、日本語で書き起こす必要があります。
現場で見てきたこと:日本に参入する海外企業の中には、AIで翻訳したままの、日本語が不自然な広告クリエイティブに大きな広告費を投じているケースが少なくありません。本国で磨き込まれた勝ち型を持っていても、日本語の違和感だけで視聴者に届かず、獲得単価もブランドの印象も下がってしまうのは大きな損失です。逆に言えば、その勝ち型を日本語で正しく伝え直すだけで、成果が大きく変わる余地があります。
事例:翻訳版から日本向け新規制作へ(海外モバイルゲーム会社)
本国で成果が出ていた広告に日本語字幕をつけて日本で配信したところ、CPIが伸び悩んでいた海外のモバイルゲーム会社の事例です。ZVAが日本向けに訴求軸と冒頭のつかみから作り直し、日本人演者で12本を新規制作して配信しました。
成果だけでなく、ブランドの印象とその先のKPIも変わる
日本向けに作ったクリエイティブは、獲得単価を下げるだけではありません。自然な日本語と日本人演者による広告は、ブランドやサービスへの印象そのものを大きく良くします。視聴者はサービスの内容をよく理解し、納得したうえでインストールしてオンボーディングに進むため、リテンション(継続率)や課金といった、サービスの奥にあるKPIも良くなる傾向があります。事例で課金ROASの改善幅がCPIの改善幅を大きく上回ったのも、この傾向と一致しています。
ローカライズの4段階
海外の広告を日本向けにする方法は、手間と効果の大きさで4段階に分けられます。
| 段階 | やること | 向いている場面 |
|---|---|---|
| ① 翻訳 | 既存の動画に日本語字幕・吹き替えをつける | 日本市場の反応を最低限確かめたいとき |
| ② 現地化 | 既存の構成を活かしつつ、日本人演者で撮り直し、台本とテロップを日本語で作り直す | 本国の勝ち型が日本でも通じるか検証したいとき |
| ③ 日本向けの新規制作 | 日本の視聴者向けに訴求軸と冒頭のつかみから企画し直し、複数パターンを作って検証する | 日本で本格的にインストールや購入を伸ばしたいとき |
| ④ 当たりパターンの拡張・量産 | ③で見つけた訴求軸や台本のパターンを広げ、派生パターンを量産し続ける | 日本での事業拡大と利益の安定化 |
①②で手応えがあっても、配信を続けると同じ動画はすぐに飽きられます(クリエイティブの疲弊)。日本で事業を伸ばし、利益を安定させるには、③で日本向けの勝ち型を見つけ、④で作り続ける体制が欠かせません。
日本向けクリエイティブで外せない5つの要素
| 要素 | ポイント |
|---|---|
| 冒頭2秒のつかみ | 通勤電車の隙間時間、家計の節約、職場の人間関係など、日本の生活に根ざした場面から入る |
| ネイティブの日本人演者 | 話し方・表情・服装で「身近な人の体験談」と受け取れるかが決まる |
| 日本語のテロップ設計 | 文字の大きさ・色・出すタイミングまで、日本の縦型動画で見慣れた形式に合わせる |
| 1本1訴求 | 1本の動画は1つの訴求に絞り、別の訴求は別の動画で検証する |
| 本数を作って検証 | 最初から複数のパターンを作り、配信データで勝ち型を絞り込む |
ZVA の制作サービス
日本向けの縦型動画を、英語・中国語・韓国語のやり取りで
企画・日本語台本・日本人演者・撮影・テロップ編集まで社内で一貫して制作します。1本50,000円〜(海外案件は個別見積)、最短5営業日で納品します。
料金と進め方を見る →日本の広告規制と媒体審査
海外では一般的な表現でも、日本では規制に触れることがあります。代表的なものを挙げます。
| 規制 | 主な内容 | 影響しやすい表現の例 |
|---|---|---|
| ステルスマーケティング規制 | 景品表示法に基づき2023年10月1日に施行。広告であることを隠した表示を禁止。責任を負うのは広告主 | インフルエンサー投稿風・口コミ風の動画で、広告であることが分からない作り |
| 景品表示法 | 実際より著しく優れている・有利であると誤認させる表示(優良誤認・有利誤認)を禁止 | 根拠のない「No.1」「最安」、条件を隠した「無料」 |
| 薬機法 | 化粧品・健康食品などで、認められた範囲を超える効能の表現を禁止 | 「シミが消える」「飲むだけで痩せる」などの効果表現 |
消費者庁によると、2025年度(2025年4月〜2026年3月)はステルスマーケティング規制に基づく処理が11件ありました。加えて、TikTokなどの媒体による広告審査も厳しく、規制に触れる表現は審査を通りません。
ZVAでの進め方
ZVAでは、クライアントからいただいた広告レギュレーション(表現ルール)に沿って台本を作り、配信前にクライアント側のクリエイティブ確認も通す運用をしています。動画内の注釈(※の補足表記)は特に入念にチェックしたうえで制作します。表現面のチェックもご相談いただけます。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の表現の可否は、専門家または各媒体の広告ポリシーでご確認ください。
海外から日本の制作チームに依頼する流れ(ZVAの場合)
打ち合わせには、日本の広告・マーケティングに精通したグローバルチームが同席します。日本語・英語・韓国語・中国語(簡体字・繁体字)で対応できます。
連絡はメールが基本で、打ち合わせはGoogle Meet、Slackにも対応します。原則は日本時間での対応ですが、時差に合わせて柔軟に調整します。
| ステップ | 内容 | 依頼側がやること |
|---|---|---|
| 1. 相談・見積もり | 商材・配信媒体・目標(CPI・CPAなど)・本数をお聞きし、日本円でお見積もりします | 商材資料と、本国で成果が出ている広告があれば共有 |
| 2. 企画・台本 | 日本の視聴者向けに訴求軸と冒頭のパターンを設計し、日本語で台本を作ります。確認用の翻訳もご相談に応じて用意します | 台本を確認(修正は2回まで無料) |
| 3. 撮影 | 日本の自社スタジオで、日本人演者が撮影します | 立ち会いは不要 |
| 4. 編集・納品 | テロップ・BGMを入れて編集し、納品します | 動画を確認(修正は1回まで無料) |
| 5. 配信・改善(任意) | TikTok広告・Meta広告・Google広告(YouTube ショートなど)の運用も担当できます。成果報酬型のプランもあります | 配信データの共有、または運用の委託 |
- 納期:最短5営業日で対応できますが、確認や修正のやり取りを考えると、スケジュールには余裕を持っていただくのがおすすめです
- 撮影:原則として自社スタジオで行います。撮影が難しい場合は、支給素材やAI素材を使った制作にも対応します
- 日本以外の国向け:日本向けだけでなく、英語圏向けなど他の国に配信するクリエイティブの制作実績もあります
費用の目安
| プラン | 基準額(税別) | 内容 |
|---|---|---|
| お試し1本 | 60,000円〜 | 品質と進め方を確かめるための1本 |
| 6本パック | 300,000円〜(1本50,000円〜) | 訴求や冒頭のパターン違いを並行して検証 |
| 毎月10本〜 | 個別見積 | 継続的な量産(4段階の④)。3か月以上の継続を推奨 |
- 基準額には企画・台本・演者・撮影・編集・字幕・BGMが含まれます
- 海外のお客様の案件は、基準額に海外対応分を加えて個別にお見積もりします。翻訳の有無・確認工程・担当体制などによって変わるため、制作前に金額をお伝えし、ご了承いただいてから着手します
- 料金は日本円(JPY)です。現地通貨での金額は、見積もり時点・支払い時点の為替で変わります
- お支払いは請求書による銀行振込(月末締め・翌月末払い)が基本で、海外のお客様は国際送金にも対応しています
依頼前のチェックリスト
| 確認項目 | 理由 |
|---|---|
| 日本で伸ばしたい指標と目標単価 | インストール・会員登録・購入のどれを追うかで、台本の作り方が変わる |
| 配信する媒体 | TikTok・Instagram リール・YouTube ショートで、尺やテロップの最適解が違う |
| 本国で成果が出ている広告と、その理由 | 日本でも通じる訴求と、作り直すべき訴求を切り分けられる |
| 日本で使えない表現がないか | 効果の断定や根拠のないNo.1表示は、規制と媒体審査の両方で止まる |
| 日本での計測環境(MMP・ピクセル) | 配信データが取れないと、勝ち型を絞り込めない |
| 最初の本数と検証期間 | 本数が少なすぎると、どの訴求が効いたか結論が出ない |
まとめ
日本の広告費はインターネットが半分を超え、伸びの中心はSNS上の縦型動画に移っています。日本で多くの人に届け、顧客を獲得するための主戦場はここです。そして日本の縦型動画で成果を出すには、翻訳ではなく、日本の視聴者に向けた企画・台本・演者・テロップで作り直し、当たりパターンを見つけて量産し続けることが近道です。
ZVAは、日本と海外(米国・中国・韓国・トルコ)で縦型動画を制作・配信してきたグローバルチームです。日本の広告・マーケティングに精通したメンバーが日本語・英語・韓国語・中国語で対応し、請求は日本円、海外からの国際送金にも対応しています。日本市場でのテスト配信から本格的な事業拡大まで、まずは見積もりからご相談ください。
参考資料・出典
- 電通「2025年 日本の広告費」(2026年3月5日)
- CARTA HOLDINGS・電通・電通デジタル・セプテーニ「2025年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(2026年3月5日)
- サイバーエージェント「2025年国内動画広告の市場調査」(2026年3月9日)
- Web担当者Forum「動画広告が2026年に1兆円突破へ。スマホ広告の3割を「縦型」が占める急成長【サイバーエージェント調べ】」(2026年3月13日)
- TikTokニュースルーム(2026年6月)日本における社会経済インパクトレポート 第3回
- 総務省 情報通信政策研究所「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2026年6月26日)
- 消費者庁 ステルスマーケティング規制のページ
- 消費者庁 令和7年度の景品表示法の運用状況(2026年5月28日公表)
- 厚生労働省「医薬品等の広告規制について」
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