縦型動画広告データブック|
提案・稟議で使える数字を一次情報で
「縦型動画をやるべき」と言うだけでは社内は動きません。必要なのは出典の確かな数字です。本記事は縦型動画広告を取り巻くデータをサイバーエージェント・電通・総務省の一次情報だけで整理したものです。推計や伝聞は載せていません。各数値に発表元と発表時期を明記しているので、提案書や稟議書にそのまま転記して使えます。
この記事のポイント
- 縦型動画広告市場は2025年に2,049億円。前年比155.9%で、動画広告市場全体(同122.2%)の約2.4倍の速度で伸びている
- インターネット広告費は2025年に4兆459億円となり、総広告費に占める構成比が50.2%と初めて過半数に到達した
- 平日のネット利用時間は183.9分でテレビのリアルタイム視聴156.1分を上回る。10代では5.3倍の開きがある
3つの数字で見る現在地
細かい表に入る前に、縦型動画広告を取り巻く状況を3つの数字で押さえます。いずれも一次情報からの引用で、算出根拠は各セクションに記載しています。
この記事の使い方:各表の数値には発表元と発表時期を明記しています。提案書へ転記する際は、末尾の「参考資料・出典」から一次情報のURLをそのまま引用してください。孫引きを避けられるため、社内での信頼性が担保されます。
市場規模|縦型は全体の2.4倍の速度で伸びている
サイバーエージェントが毎年公表する国内動画広告市場調査(デジタルインファクト調べ)が、この領域でもっとも参照される一次情報です。2026年3月9日発表の最新版から、動画広告市場全体と縦型動画広告の内訳を抜き出します。
| 年 | 動画広告市場全体 | うち縦型動画広告 | 縦型のシェア |
|---|---|---|---|
| 2024年(実績) | 7,249億円 | 1,314億円 | 18.1% |
| 2025年(実績) | 8,855億円 | 2,049億円 | 23.1% |
| 2026年(予測) | 1兆437億円 | 2,771億円 | 26.5% |
| 2029年(予測) | 1兆6,336億円 | 5,648億円 | 34.6% |
2024年の縦型の値は、2025年実績2,049億円と前年比155.9%から逆算した参考値です(市場全体7,249億円は同調査の前年発表値と整合します)。シェアは各年の内訳から算出しました。
注目すべきは成長率の差です。2025年の動画広告市場全体は前年比122.2%だったのに対し、縦型動画広告は155.9%でした。市場全体の約2.4倍の速度で伸びている計算になります。この差がシェアの拡大として表れています。
出典: サイバーエージェント「2025年国内動画広告の市場調査」(デジタルインファクト調べ・2026年3月9日発表)の内訳から算出。
デバイス別の内訳
同調査ではデバイス別の内訳も公表されています。縦型が伸びる構造的な理由がここに表れています。
| デバイス | 2025年 | 前年比 | 備考 |
|---|---|---|---|
| スマートフォン向け | 7,053億円 | 122.7% | 動画広告需要全体の80%を占める |
| コネクテッドテレビ向け | 1,295億円 | 127.0% | インターネットに接続されたテレビ受像機経由 |
動画広告需要の80%がスマートフォン向けです。スマートフォンは縦持ちが基本であり、画面を100%使い切れる縦型フォーマットが構造的に有利になります。この内訳が続く限り、縦型のシェア拡大は止まりにくいと考えられます。
広告費全体のなかでの位置づけ
動画広告市場を語るとき、広告費全体のどこに位置するかを示せると説得力が変わります。電通が毎年発表する「日本の広告費」が一次情報です。2026年3月5日発表の最新版から引用します。
| 区分 | 2025年 | 前年比 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 総広告費 | 8兆623億円 | 105.1% | 5年連続の成長、4年連続で過去最高を更新 |
| インターネット広告費 | 4兆459億円 | 110.8% | 1996年の推定開始以来はじめて4兆円を突破 |
| マスコミ四媒体広告費 | 2兆2,980億円 | 98.4% | テレビ・新聞・雑誌・ラジオ。ほぼ横ばい |
2025年はインターネット広告費が総広告費の50.2%を占め、はじめて過半数に達した年です。マスコミ四媒体が前年比98.4%とわずかに縮小するなか、ネットが110.8%で伸びた結果です。電通はこの拡大要因のひとつとして、SNS上の縦型動画広告やコネクテッドテレビなどの動画広告需要の高まりを挙げています。
「ネット広告に予算を移す」提案では、この50.2%が効きます。市場全体の過半数がすでにネットへ移っているという事実は、自社だけが先走るわけではないという安心材料になるためです。なお動画広告市場8,855億円は、インターネット広告費4兆459億円の約21.9%にあたります。
生活者の接触時間|ネットがテレビを超えた
広告費が動く前に、生活者の時間が動いています。総務省情報通信政策研究所が毎年実施する調査が一次情報です。令和7年度調査は13〜79歳の1,800人を対象に令和7年12月に実施され、令和8年6月に公表されました。
| メディア(全年代・平均利用時間) | 平日 | 休日 |
|---|---|---|
| インターネット利用 | 183.9分 | 192.9分 |
| テレビ(リアルタイム)視聴 | 156.1分 | 189.2分 |
全年代の平均で、平日・休日ともにインターネット利用時間がテレビのリアルタイム視聴時間を上回りました。同調査は、その差が拡大しつつあるとも指摘しています。
年代別で見ると差はさらに大きい
平均値は高年齢層に引っ張られます。ターゲットが若年層なら、年代別の内訳を見るべきです。
| 年代 | ネット利用 | テレビ(リアルタイム) | ネット÷テレビ |
|---|---|---|---|
| 10代 | 228.3分 | 43.4分 | 5.3倍 |
| 20代 | 266.9分 | 46.3分 | 5.8倍 |
| 30代 | 225.5分 | 78.0分 | 2.9倍 |
| 40代 | 229.2分 | 112.3分 | 2.0倍 |
| 50代 | 158.0分 | 152.7分 | 1.0倍 |
| 60代 | 140.2分 | 249.3分 | 0.6倍 |
| 70代 | 93.8分 | 313.5分 | 0.3倍 |
平日の平均利用時間。「ネット÷テレビ」は各年代の値から算出しました。
逆転が起きているのは50代です。40代以下ではネットが優勢、60代以上ではテレビが優勢という構造がはっきり出ています。ターゲットが40代以下なら、テレビ中心のメディアプランはすでに実態と合っていません。
5年間の推移
単年の数字より、推移のほうが説得力を持つ場面があります。行為者率(その日にそのメディアを利用した人の割合)の変化を見ます。
| 指標(平日・全年代) | 2020年 | 2025年 | 変化 |
|---|---|---|---|
| ネット行為者率 | 81.3% | 86.8% | +5.5pt |
| テレビ(リアルタイム)行為者率 | 84.0% | 71.3% | −12.7pt |
| 新聞行為者率 | 31.2% | 21.3% | −9.9pt |
5年でテレビの行為者率は12.7ポイント下がりました。見る人の視聴時間が短くなっただけでなく、「そもそも見ない人」が増えているという点が重要です。リーチそのものが縮んでいます。
プラットフォーム別の利用率
どの媒体に出稿するかを決める材料として、サービス別の利用率を押さえます。同じく総務省の令和7年度調査からの引用です。
| サービス | 全年代 | 10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| LINE | 92.9% | 96.4% | 97.7% | 97.9% | 96.6% | 95.6% | 92.0% |
| YouTube | 81.5% | 95.0% | 96.3% | 94.0% | 91.6% | 84.9% | 72.6% |
| 54.8% | 69.3% | 82.6% | 76.6% | 67.1% | 54.4% | 36.1% | |
| X(旧Twitter) | 44.7% | 56.4% | 73.4% | 67.7% | 57.0% | 40.2% | 24.8% |
| TikTok | 36.7% | 67.9% | 61.5% | 44.7% | 42.6% | 32.2% | 21.2% |
| 27.0% | 14.3% | 23.4% | 37.4% | 38.9% | 33.1% | 22.6% |
縦型動画の主要3媒体で見ると、YouTube 81.5%、Instagram 54.8%、TikTok 36.7%です。TikTokは10代で67.9%と突出しますが、40代でも42.6%が利用しており、「若者だけのプラットフォーム」という認識はすでに実態と合いません。Instagramは20代で82.6%と最も高く、女性の利用率63.4%が男性46.2%を上回る点も出稿設計に影響します。
5年間の伸び
| サービス(全年代の利用率) | 2020年 | 2025年 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| TikTok | 14.9% | 36.7% | 2.46倍 |
| 36.1% | 54.8% | 1.52倍 | |
| YouTube | 77.0% | 81.5% | 1.06倍 |
| 28.0% | 27.0% | 0.96倍 |
5年間でTikTokは約2.5倍、Instagramは約1.5倍に伸びた一方、Facebookは横ばいでした。YouTubeはすでに8割を超えており、伸びしろよりも安定したリーチ基盤として位置づけるのが妥当です。
何のために使われているか
利用率だけでなく利用目的も出稿判断の材料になります。
| 目的 | 全年代で最も利用されるメディア | 割合 |
|---|---|---|
| 趣味・娯楽に関する情報を得る | インターネット | 70.8% |
| いち早く世の中のできごとを知る | インターネット | 55.4% |
| 信頼できる情報を得る | テレビ | 50.3% |
| 娯楽としての重要度 | インターネット | 80.7% |
「趣味・娯楽の情報を得る」場面ではインターネットが70.8%と圧倒的です。一方で「信頼できる情報を得る」ではテレビが50.3%と依然強い。商材の性質によって最適なメディアが変わることを示すデータであり、ネット一辺倒の提案に対する反論への備えにもなります。
このデータをどう提案に使うか
数字を並べるだけでは提案は通りません。相手が持つ疑問に、どのデータで答えるかを整理します。
- 「一時的な流行では?」に答える5年間の推移を使います。TikTok利用率が14.9%→36.7%と一貫して伸び、テレビ行為者率が84.0%→71.3%と一貫して下がっている。単年の数字ではなくトレンドで示すことで、流行ではなく構造変化であることが伝わります。
- 「うちのターゲット層には効かない」に答える年代別テーブルを使います。40代でもTikTok利用率は42.6%、Instagramは67.1%。ネット利用時間がテレビを下回るのは60代以上だけです。ターゲットの年代を表に当てはめれば、感覚論を数字に置き換えられます。
- 「自社だけ先走るのは怖い」に答える構成比50.2%を使います。市場全体としてすでにネットが過半数を超えているという事実は、追随ではなく標準であることの根拠になります。
- 「なぜ横型ではなく縦型なのか」に答えるデバイス別内訳を使います。動画広告需要の80%がスマートフォン向けです。スマホは縦持ちが基本なので、画面を使い切る縦型が有利という構造を、需要の内訳から説明できます。
市場データは毎年更新されます。サイバーエージェントの調査と電通「日本の広告費」は例年3月、総務省の調査は6月前後の公表です。提案書へ転記する際は発表年月をセットで記載し、次の発表時期を把握しておいてください。1年前のデータを最新として提示すると、その一点で提案全体の信頼性が損なわれます。
まとめ
縦型動画広告を取り巻くデータを、一次情報だけで整理しました。要点は3つです。
第一に、市場は縦型に偏って伸びています。2025年の動画広告市場全体が前年比122.2%だったのに対し、縦型は155.9%。シェアは2024年の18.1%から2029年に34.6%へ拡大する見通しです。
第二に、広告費全体の重心がすでに移っています。インターネット広告費は4兆459億円となり、総広告費に占める構成比が50.2%と初めて過半数に達しました。
第三に、その背景には生活者の時間配分の変化があります。平日のネット利用時間183.9分がテレビの156.1分を上回り、10代では5.3倍の開きがあります。テレビの行為者率は5年で12.7ポイント下がりました。
市場の成長ドライバーや2030年に向けた展望についてはショート動画広告の市場規模と将来性で、縦型動画広告の仕組みや始め方については縦型動画広告とは?効果・メリットと始め方で解説しています。稟議書の書き方そのものは動画広告の社内稟議を通すには?にまとめました。
参考資料・出典
- サイバーエージェント「2025年国内動画広告の市場調査」(デジタルインファクト調べ・2026年3月9日発表)
- 電通「2025年 日本の広告費」(2026年3月5日発表)
- 電通「2025年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」
- 総務省情報通信政策研究所「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(令和8年6月公表)
本記事に掲載した数値はすべて上記の一次情報からの引用です。市場データは毎年更新されるため、提案資料へ転記する際は発表年月をあわせて記載してください。当社の見解にあたる部分は本文中で区別しています。